ROAS(ロアス)は、広告費1円あたり何円の売上が立ったかを示す広告費用対効果の指標で、「広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」で求めます。計算は簡単ですが、ROAS 300%が黒字なのか赤字なのかは式だけでは分かりません。答えは商品の粗利率で決まります。
この記事では、計算式と読み方、粗利率から出す損益分岐点ROASと目標ROAS、ROI・CPAとの違いと換算式、ROASを上げすぎると利益が減る理由、Google広告でのROASの見方と目標ROAS入札の要件、ROASが低いときの原因の切り分けまでを順に扱います。
まとめ:ROASの要点
- 計算式はROAS(%)=広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100。広告費10万円で売上50万円なら500%(5倍)。
- ROAS 100%は売上と広告費が同額で、原価を払えば赤字。黒字ラインは損益分岐点ROAS=100 ÷ 粗利率(粗利率40%なら0.4を代入して250%)。
- 目標ROASは1 ÷(粗利率 − 目標利益率)× 100で逆算する。「ROAS 300%なら合格」のような外部の目安は、粗利率20%の商材では赤字になる。
- 広告費だけを投資とみなせばROI(%)=ROAS(%)× 粗利率 − 100で換算できる。ROASは日々の運用、ROIは予算の判断に使う。
- ROASは高いほど良いわけではない。予算を絞ればROASは上がるが、利益の総額は減ることがある。追加の広告費で増えた売上(限界ROAS)が損益分岐点を上回る限り、予算を増やす余地がある。
- Google広告のROASはクリック日で集計されるため、直近数日は低く見える。目標ROAS入札は検索キャンペーンで過去30日に15件以上のコンバージョンが要件。
ROASの意味・読み方と計算式
ROASは「Return On Advertising Spend」の略で、読み方はロアスです。Google広告ヘルプの入札最適化ガイドの用語集(Glossary・英語)は、ROASを「Return-on-ad-spend, represented as a percentage, calculated as total conversion value divided by total spend.」と定義しています(Google Ads Help「Glossary」、2026年10月29日閲覧)。分子は「コンバージョン値」で、そこに売上を入れる運用が一般的なため、ROASは売上ベースの指標として扱われます。
ROASの計算式と計算例
| 広告費 | 広告経由の売上 | 計算 | ROAS |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 50万円 | 50 ÷ 10 × 100 | 500%(5.0倍) |
| 30万円 | 45万円 | 45 ÷ 30 × 100 | 150%(1.5倍) |
| 20万円 | 20万円 | 20 ÷ 20 × 100 | 100%(1.0倍) |
%表記と倍率表記は同じ意味です。管理画面によっては「5.00」のように倍率で表示されるので、社内資料ではどちらで書くかを決めておくと読み違いが起きません。
分子に入れる「広告経由の売上」の範囲
ROASの数字は、分子に何を数えるかで変わります。媒体の管理画面が出すROASの分子は、その媒体が自社の広告に割り当てたコンバージョン値です。複数の媒体に出稿していると、1件の購入をGoogle広告とMeta広告がそれぞれ自分の成果として数え、各媒体の広告経由売上を足すと実際の売上を上回ることがあります。媒体ごとのROASを並べて予算を配分する前に、どの接点に成果を配分しているかを確かめてください。配分ルールの選び方はアトリビューション分析とは?選べるモデルとやり方・AI(データドリブン)の中身で整理しています。
分母も同じで、媒体費だけを入れるのか、代理店手数料や制作費まで入れるのかで値が変わります。ROASを媒体の管理画面の値で見るなら分母は媒体費だけ、という前提を資料に明記してください。費用を広く取る計算は、後述のROIの章で扱います。
スプレッドシートでのROAS計算式
計算ツールを探すより、Googleスプレッドシートや Excel に式を入れておくほうが、粗利率を変えたときの損益分岐点まで一度に見られます。A列に広告経由の売上、B列に広告費、C列に粗利率(40%なら0.4)、D列に売上に対して残したい利益率、E列に平均注文単価、F列にCPAを入れた場合、G2〜K2に入れる式は次のとおりです。セルの表示形式をパーセントにすると%表記になります。粗利率が目標利益率以下だと目標ROASは成り立たないため、IF関数で「設定不可」と表示させています。
G2 ROAS =A2/B2
H2 損益分岐点ROAS =1/C2
I2 目標ROAS =IF(C2>D2,1/(C2-D2),"設定不可")
J2 ROI(広告費のみ)=A2/B2*C2-1
K2 CPAからのROAS =E2/F2
最後の式は、ROAS=平均注文単価 ÷ CPA という関係を使っています。売上=件数×平均注文単価、広告費=件数×CPA なので、件数が約分されて残ります。CPAの目標から逆にROASの目標を出すときの式です。
損益分岐点ROASと目標ROASの逆算
ROAS 100%は「売上と広告費が同額」という意味で、商品の原価を払えばこの時点で赤字です。広告費を差し引いても損が出ない水準は、粗利率から計算します。
損益分岐点ROAS=100 ÷ 粗利率
売上をS、広告費をA、粗利率をgとすると、広告費を引いた利益は「S × g − A」です。これがゼロになるのは S ÷ A = 1 ÷ g のときで、%表記にすると100 ÷ 粗利率(粗利率は小数で代入)が損益分岐点ROASになります。
| 粗利率 | 損益分岐点ROAS | 目標ROAS(売上の10%を利益に残す) |
|---|---|---|
| 20% | 500% | 1,000% |
| 30% | 約333% | 500% |
| 40% | 250% | 約333% |
| 60% | 約167% | 200% |
| 80% | 125% | 約143% |
Amazon広告で使われるACOS(広告費売上高比率)は、ROASの逆数です。Amazon Adsの解説は「ACOS =(広告費 ÷ 広告収益)x 100」とし、ROASを「Amazon ACOSの逆数」と説明したうえで、「利益を維持するには、Amazon ACOSが利益率よりも低くなければなりません」と書いています(Amazon Ads「広告費売上高比率(ACOS)とは?」、2026年10月29日閲覧)。ACOS 25%はROAS 400%と同じ状態で、損益分岐の考え方もこの章の式と一致します。Amazonでの運用はAmazon広告の運用:スポンサー広告の設計とACOS管理・自社EC広告との使い分けで扱っています。
目標ROAS=1 ÷(粗利率 − 目標利益率)
損益分岐点は収支ゼロの地点なので、運用で追う目標は、残したい利益を上乗せして決めます。売上に対してp割の利益を残したいなら「S × g − A = S × p」を解いて、目標ROAS=1 ÷(g − p)× 100 です。粗利率40%で売上の15%を利益に残すなら、1 ÷(0.40 − 0.15)× 100 = 400% になります。
この式で決めた目標は、粗利率の違う商品をまとめたキャンペーンには当てはまりません。粗利率20%と60%の商品を同じ目標ROAS 300%で回すと、前者は赤字、後者は利益が出ているのに予算を絞られる、という配分の歪みが起きます。目標ROASは、粗利率が近い商品ごとにキャンペーンを分けて設定するのが基本です。
ROASの目安と業界平均の読み方
「ROASの目安は何%か」には、全業種共通の答えがありません。前章の表のとおり、粗利率20%の商材は500%で収支ゼロ、粗利率80%の商材は125%で収支ゼロです。ECサイトでも、粗利率50%の商品なら黒字ラインは200%、粗利率25%の商品なら400%で、同じ「ECの目安」では括れません。目安は次の順で決めます。
- 自社の粗利率から損益分岐点ROASを出す。これを下回る広告は、続けるほど赤字が増える。
- 残したい利益率を上乗せして目標ROASを決める。日々の運用で追うのはこの値。
- 外部の業界平均は、自社の値が極端に外れていないかの確認にだけ使う。
外部の業界平均をそのまま目標にしないのは、集計条件がそろっていないためです。公開されている業界別ROASの多くは、媒体の管理画面で集計された値の平均で、アトリビューションの設定も、分子に入れたコンバージョン値の定義も企業ごとに違います。「ROAS 200%以上が目安」という記述を見て目標にすると、粗利率40%の商材では損益分岐点の250%を下回る運用を合格と判定することになります。
リピート購入やサブスクリプションの商材は、初回購入だけのROASで判断すると広告を過小評価します。初回のROASが損益分岐点を下回っていても、継続期間の粗利で広告費を回収できるなら、採算は合う計算です。この場合は、何か月で回収する前提かを決め、LTV(顧客生涯価値)を粗利ベースで見積もって目標ROASを下げます。LTVの見積もり方はLTVの計算方法|基本式からSaaS・サブスク(解約率)の算出までを参照してください。
ROASとROI・CPAの違い
| 指標 | 計算式 | 分子 | 損益分岐 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ROAS | 売上 ÷ 広告費 × 100 | 売上 | 100 ÷ 粗利率 | 入札・配信の日次調整 |
| ROI | 利益 ÷ 投資額 × 100 | 利益 | 0% | 予算の決裁・施策の存続 |
| CPA | 広告費 ÷ コンバージョン数 | (費用) | 1件の粗利と同額 | 獲得単価の管理 |
Google広告の用語集は、ROIを「Return on investment, calculated as total profit divided by total spend.」と定義しています(前掲 Glossary)。分子が売上か利益か、これがROASとの違いです。ただし日本語ヘルプ「コンバージョン値について」は、[コンバージョン値/費用] 列で「投資収益率も測定できます」と書いており、媒体の文脈ではROASに近い値がROIと呼ばれることもあります。資料でROIと書かれていたら、分子が売上か利益かを確かめてください。ROIの定義と投資判断での使い方はROI(投資利益率)とは?計算式・目安・改善方法をわかりやすく解説で、マーケティング施策全体の投資利益率はROMIとは?マーケティング投資利益率の計算式とROI・ROASとの違いで解説しています。
ROASからROIへの換算式
投資を広告費だけとし、利益を「売上 × 粗利率 − 広告費」とみなすと、ROI=(S × g − A)÷ A = ROAS × g − 1 です。%表記ならROI(%)=ROAS(%)× 粗利率 − 100(粗利率は小数で代入)になります。
| ROAS | 粗利率20% | 粗利率40% | 粗利率60% |
|---|---|---|---|
| 200% | ROI −60% | ROI −20% | ROI 20% |
| 300% | ROI −40% | ROI 20% | ROI 80% |
| 500% | ROI 0% | ROI 100% | ROI 200% |
粗利率20%の商材は、ROAS 500%でもROIは0%で、広告で1円も利益が残りません。粗利率60%のデジタル商材なら、ROAS 200%でもROIは20%の黒字です。
広告ROIの分母に入れる費用
ROIは、分母に何を入れるかで結果が大きく変わります。媒体費100万円・ROAS 500%(売上500万円)・粗利率40%(粗利200万円)の例では、媒体費だけを分母にしたROIは(200 − 100)÷ 100 = 100% です。ここに媒体費の20%の運用手数料20万円と制作費30万円を加えると、投資額は150万円になり、ROIは(200 − 150)÷ 150 ≒ 33% まで下がります。予算の決裁では関連費用込みで計算し、媒体費だけで比べる場合はその旨を資料に注記してください。
CPAとの違いと換算
CPAは1件の獲得にかかった広告費で、売上の大きさを見ません。客単価が5,000円の注文と5万円の注文を同じ1件として数えるため、単価がばらつく商材ではCPAだけで配信先を比べると判断を誤ります。両者は「ROAS=平均注文単価 ÷ CPA」でつながっており、平均注文単価1万円・CPA 2,500円ならROASは400%です。商品ごとに単価や粗利が違うならROAS、資料請求や会員登録のように1件の価値がほぼ一定ならCPA、という使い分けになります。反応単価のCPRとの違いはCPR(Cost Per Response)とは?広告の反応単価の意味・計算式とCPA/CPOとの違いにまとめています。
ROASは高いほど良いのか:平均ROASと限界ROAS
ROASが高いほど広告の効率は良いのですが、利益が最大になるとは限りません。予算を絞って購入意欲の高い層だけに配信すれば、ROASは上がります。その代わり売上の総額が減り、利益の総額も減ることがあります。
粗利率40%(損益分岐点ROAS 250%)の商品で、予算を100万円ずつ増やした場合の試算です(数値は説明用の仮定)。
| 広告費 | 売上 | 平均ROAS | 追加分の限界ROAS | 利益(粗利 − 広告費) |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 500万円 | 500% | ― | 100万円 |
| 200万円 | 800万円 | 400% | 300% | 120万円 |
| 300万円 | 1,000万円 | 約333% | 200% | 100万円 |
ROASが最も高いのは広告費100万円のときですが、利益が最も大きいのは200万円のときです。100万円から200万円に増やした追加分は、100万円で300万円の売上を生んでおり、限界ROAS 300%は損益分岐点の250%を上回るので利益が増えます。200万円から300万円に増やした分は限界ROASが200%で、損益分岐点を下回るため、平均ROASがまだ333%あっても利益は減ります。
Google広告の用語集も、限界ROAS(Marginal ROAS)を「The additional return you get for additional spend, calculated as increase in conversion value divided by increase in spend.」と定義しています(前掲 Glossary)。判断の基準はこうなります。平均ROASではなく、追加した広告費に対する売上の増え方(限界ROAS)が損益分岐点ROASを上回っている限り、予算を増やす。平均ROASだけを見ていると、この例の300万円のように「ROAS 333%で損益分岐点の250%を超えているから続ける」という判断で、すでに赤字になった追加分を払い続けます。
Google広告のヘルプも、目標ROASについて「目標値が高すぎると、広告で獲得できるトラフィックの量が制限されることがあります」とし、コンバージョン数を増やしたい場合は「目標広告費用対効果を徐々に下げます」と案内しています(Google 広告 ヘルプ「目標広告費用対効果に基づく入札について」、2026年10月29日閲覧)。ヘルプの案内はコンバージョン数・コンバージョン値を基準にしたもので、利益を基準にしてはいません。下げた後は利益の総額で判断します。目標ROASを損益分岐点より大幅に高く置いているなら、段階的に下げて利益の総額が増えるかを確かめる価値があります。
なお、限界ROASを正確に測るには、広告がなくても立っていた売上(指名検索からの購入など)を分子から除く必要があります。予算を増減させたときの差分の測り方はインクリメンタリティとは?広告の増分効果を測る手法とCPA評価の限界・運用判断を解説を参照してください。
Google広告でのROASの見方と目標ROAS入札
[コンバージョン値 / 費用] 列とクリック日での集計
Google広告の管理画面では、ROASは [コンバージョン値 / 費用] 列で確認します。目標ROASのヘルプは、この列を表示項目に追加し、「費用あたりのコンバージョンの価値を 100 倍すると、目標広告費用対効果のパーセンテージが得られます」と説明しています(前掲ヘルプ)。
注意したいのは集計の日付です。ヘルプ「コンバージョン トラッキング データについて」は、コンバージョンのメインの列が「コンバージョンの日時ではなくクリックの日時に基づいて計算されます」とし、広告費用もクリックの日時に基づいて算出されると書いています(Google 広告 ヘルプ「コンバージョン トラッキング データについて」、2026年10月29日閲覧)。先週クリックされて今週購入された分は、先週の数字に後から加わる仕組みです。そのため直近数日のROASは、成果が出そろった後より低く見えます。目標ROASのヘルプも、ROASを評価する際は「直近のコンバージョン達成までの所要時間を測定期間から除外してください」としています。検討期間が長い商材で直近1週間のROASだけを見て配信を止めるのは避けてください。
Googleアナリティクスなどの解析ツールは購入した日で数えるため、同じ期間でもGoogle広告と数字が合わないことは珍しくありません。比較するときは、Google広告側で [コンバージョン値(コンバージョンの日時別)] の列を使うと日付の基準がそろいます。それでも差は残るというのがヘルプの説明です。アトリビューション モデルの違いで「最大 20% の差異が生じることがあります」とし、Googleアナリティクスはデータドリブン アトリビューションが既定であること、24〜48時間の処理の遅延を考慮してから比較することを挙げています。
目標ROAS入札の要件と目標値の置き方
目標ROAS(目標広告費用対効果)入札は、設定したROASの達成を目指しながらコンバージョン値を最大化するよう、Google広告が入札単価を自動で調整する入札戦略です。ヘルプが挙げる主な利用要件は次のとおりです(前掲ヘルプ、2026年10月29日閲覧)。
| キャンペーンの種類 | 要件 |
|---|---|
| 検索・ショッピング | 過去30日に15件以上のコンバージョン |
| ディスプレイ | 全キャンペーン合計で過去30日に15件以上(新規は実績不要) |
| アプリ | 毎日10件(または30日で300件)以上 |
| デマンド ジェネレーション | 過去35日に50件以上(うち直近7日に10件以上)など |
動画アクション キャンペーンは2026年4月までにデマンド ジェネレーションへの自動移行が終わり、移行できなかったキャンペーンは削除されると案内されています(Google Ads Help「Video Action Campaigns are being upgraded to Demand Gen」、2026年10月29日閲覧)。目標ROASのヘルプには動画アクションの要件(過去30日に30件以上)が残っていますが、これから設定するならデマンド ジェネレーションの要件を見てください。
コンバージョン値に何を入れるかで、目標ROASの意味が変わります。ヘルプ「コンバージョン値について」は、目標広告費用対効果の入札戦略を「販売収益、利益率などのコンバージョン値が最大になるように入札単価が設定されます」と説明しています(Google 広告 ヘルプ「コンバージョン値について」、2026年10月29日閲覧)。注文ごとの粗利額をコンバージョン値として送れば、管理画面のROASは「粗利 ÷ 広告費」になり、目標ROAS 100%がちょうど広告費を粗利で回収するライン(ROI 0%)になります。粗利率の違う商品が混ざるECでは、この設定のほうが前章の配分の歪みが起きにくくなります。
切り替えるときの注意は2点です。売上ベースで400%だった目標を、粗利ベースに切り替えた後もそのまま使うと、入札が絞られすぎて配信量が落ちます。粗利率40%なら、同じ水準の目標は400% × 0.4 = 160%です。また、検索キャンペーンでコンバージョン値の蓄積方法を変えた直後は、同程度のコンバージョン値を獲得できるようになるまでコンバージョン サイクル1〜2回分待つよう、ヘルプは勧めています。なお、2026年6月から入札戦略の表示名が変わり、「目標広告費用対効果を設定したコンバージョン値の最大化」は「目標広告費用対効果」と表示されます。
ROASが低い原因の切り分けと改善策
ROASが目標を下回ったときは、作り直す前に、数字が正しいかと、どこで落ちているかを順に確かめます。
計測のずれの確認:集計日・コンバージョン値・アトリビューション
- 直近期間を見ている:クリック日で集計されるため、成果が出そろう前のROASは低く出る。コンバージョンまでの日数を除いた期間で比べる。
- コンバージョン値が入っていない:タグの設定漏れや、値を固定にしたまま単価の違う商品を売っていると、分子が実際の売上とずれる。
- アトリビューションの設定が違う:媒体の管理画面と解析ツールでは、成果をどの接点に配分するかが異なり、ROASも変わる。
CVR・客単価・CPCへの分解
計測が正しければ、ROASを3つの要素に分けて、どこが落ちているかを見ます。売上=クリック数 × CVR × 平均注文単価、広告費=クリック数 × CPC なので、クリック数が約分されて次の式になります。
ROAS = CVR × 平均注文単価 ÷ CPC
CVR 2%・平均注文単価8,000円・CPC 50円なら、0.02 × 8,000 ÷ 50 = 3.2、つまりROAS 320%です。前月比でどの要素が動いたかを見れば、手を打つ場所が決まります。
| 落ちている要素 | 主な原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| CVR | LPの訴求ずれ・表示速度・フォーム | LPとフォームの改善、検索語句の除外 |
| 平均注文単価 | 低単価商品への流入の偏り | セット販売・送料無料ライン、商品別の目標ROAS |
| CPC | 競合の入札増・品質の低下 | キーワードと広告文の関連性、配信面の見直し |
CVRの改善の優先順位はCVR(コンバージョン率)とは?計算式・業界別平均・改善の優先順位、CPCが決まる仕組みはCPC(クリック単価)とは?計算式とクリック課金型広告の仕組みで解説しました。媒体や配信タイプを見直す場合は運用型広告とは?種類6タイプと主要媒体の比較・広告運用との違いと選び方が参考になります。粗利率から目標ROASを決めて媒体ごとの配分まで設計したい場合は、Webマーケティング戦略の支援でもご相談を受けています。
認知拡大が目的の動画広告やディスプレイ広告は、短期のROASが低く出るのが普通です。この種の広告にROASの基準をそのまま当てると、後の指名検索やリピートを生む施策から先に削ることになります。認知目的の広告は、到達数や指名検索数の伸び、増分効果といった別の指標で評価してください。
よくある質問
ROASの読み方は?
「ロアス」と読みます。Return On Advertising Spendの略で、日本語では広告費用対効果と呼ばれます。
ECサイトのROASの目安は何%ですか?
全EC共通の目安はありません。商品の粗利率から「100 ÷ 粗利率」で損益分岐点ROASを出し、残したい利益率を足した目標ROASで管理します。粗利率40%なら損益分岐点は250%、粗利率20%なら500%です。
ROASは高い方がいいのですか?
効率としては高い方が良いのですが、利益の総額が最大になるとは限りません。予算を絞るとROASは上がっても売上と利益の総額が減ることがあります。追加した広告費に対する売上の増え方(限界ROAS)が損益分岐点ROASを上回る限りは、予算を増やす余地があります。
ROASとCPAの違いは?
ROASは広告費に対する売上の比率、CPAは1件の獲得にかかった広告費です。両者は「ROAS=平均注文単価 ÷ CPA」で換算でき、平均注文単価1万円・CPA 2,500円ならROASは400%です。単価がばらつく商材はROAS、1件の価値がほぼ一定ならCPAで管理します。
ROASの計算ツールはありますか?
専用ツールがなくても、スプレッドシートに「=売上/広告費」の式を入れ、表示形式をパーセントにすれば計算できます。粗利率の列を足して「=1/粗利率」を並べると、損益分岐点ROASも同時に確認できます。